shishintheboardのブログ

小説、雑誌、新書、専門書、TV、ニュース記事などからの気になったことをメモしたり、そこから掘り下げて黙想したいことを書き綴ります。どんな形でもいいから、表現化したいな~。

次なる冒険へー序章

なにも冒険者の宿でむだに長逗留していたわけではない。わしは夜の酒場での冒険者たちの会話に聞き耳を立て、情報屋同志の集まりにも参加し、日中には実際にうわさのあった現場におもむくなど、精力的に情報収集をつづけていた。そして、最終的に二、三のめぼしい遺跡に関する情報の真価を問おうとしていた矢先に、一通の手紙がわしに舞い込んできたのだ。


信頼するジェイドへ
 挨拶はぬきだ。貴方は冒険者として日々忙しく活動しておられることと思う。そこで貴方にお願いしたいことがある。
 レーゼルドーン大陸のサンクトパウルスブルグ王国を知っているだろう。我がエリフ村とも友好関係を結んでいた小国だ。ところが二カ月ほど前のこと、隣国との和平交渉のために出張していた国王が“不慮の事故”で死んでしまったのだ。国内はおおいに混乱し、ご子息の一人ショーンハウゼン王子が王位を継承することになった。しかしながら、元参謀役のデラウ枢機卿が異を唱え、他の王子たちや国王の騎士団を牛耳って軍事クーデターを引き起こしたのだ。幸いにもショーンハウゼン新国王のお命に別状はなく、ある離宮の地下牢に幽閉されている。だが王の証しであるあのレッサードラゴンのつえは、枢機卿の手に渡ってしまった。ご存じのとおり、あのドラゴンのつえには魔力があり、代々サンクトパウルスブルグの国王が継承し、内外の統治に欠かせないものだ。魔王として君臨してしまった枢機卿は隣国の諸国に対して脅威になりつつある。現に北東のフュラ王国が彼らの支配下にはいった。
 わしは、貴方もご承知のとおり、前国王とは若い時期に冒険をともにしたこともある友人であったから、今回の事件を見過ごすことはできない。新国王はまだ若いが信仰に厚く、民からも慕われている有望なお方だ。ぜひ新国王を救出してくれたまえ。危険がともなうが、得られる名誉とそれ相応の報酬を約束する。貴方は、この依頼を断りはしないだろう。ドラゴンに関わる秘密に近づく良い機会となるはずだからだ。時間がないので、早急に実行に移ってくれたまえ。
                                         貴方の親友
片目のギャルド
PS. 詳しい地図を添付させていただく。