shishintheboardのブログ

小説、雑誌、新書、専門書、TV、ニュース記事などからの気になったことをメモしたり、そこから掘り下げて黙想したいことを書き綴ります。どんな形でもいいから、表現化したいな~。

救出作戦とケセラセラ

※参考文献: TRPGシナリオ図書館 ソードワールド・シナリオ「地下牢と竜」


レーゼルドーン大陸にはさまざまな王国、帝国が名を連ねているので、サンクトパウルスブルグ王国はその点で見劣りする小国にすぎない。しかしながら、この“レッサードラゴンのつえ”を所持する国に、攻め入ろうと企む国や勢力は皆無に等しく、近隣諸国からの畏怖すらも相まって建国300年の歴史をもつ。仮に王国に何らかの危機が迫れば、国王はそのつえを頭上にかざし念じることで、恐るべき竜どもを召喚させてあやつることができると伝えられている。


使者から届けられた手紙をしばらく吟味した後、わしは「すぐに実行に移る」とだけ返答し、その使者を帰らせた。ただし、わしの腰は依然重く、これからつづくであろう苦境の旅を想うと、どのように気持ちを高ぶらせるべきかと悩むほどであった。第一、仲間になったばかりの拳闘士とエルフの娘には、なんと伝えればよいのか。近場の遺跡探索ならばいざしらず、降って沸いたようなわしの使命を、彼らにも押し付けてよいのだろうか。この旅は冒険者としては代えがたき経験となろうし、異国の王を救出して竜のつえを持つ魔王と対峙しようなどというのは魅力的な試みであるにちがいない。だが、その分、かなりのリスクをともなう危険な仕事なのだ。彼らにそれほどの覚悟があろうか、あるいは、わしがその覚悟を若人である彼らにうながせることができるのか―。


わしは、この悩みをいったん脇に置いて、国王救出のためにどのような作戦をとれるかと思案した。(地図を調べながら、)離宮の地下牢ということは、それほどの防衛設備があるわけではない。この点は感謝すべき好材料である。離宮からの脱出経路という点についても、わしらに利がある。裏山から我がエルフ村までは尾根づたいに歩いて三日半というところだ。村の長である片目のギャルドがわしに依頼したのも、この地の利を活かせるだろうという算段があってのことだろう。問題はその後のことだが、枢機卿の魔の手からどのようにして逃れるか、あるいは、闘うか。こればかりは、現時点で悩んでもむだである。なればなれだ。